免疫治療:子宮内膜癌

紹介-INTRODUCTION-

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子宮体がんの発症には、女性ホルモンが関わっています。

エストロゲンとプロゲステロンは、どちらも卵巣から分泌される女性ホルモンです。月経があるときには、このふたつのホルモンが絶妙なバランスで均衡を保っています。しかし、閉経に近づくと卵巣のはたらきが衰え排卵機能が低下してくるため、エストロゲンが優位になる傾向があります。子宮体がんは、月経が毎月起こって内膜が剥がれている方には原則として起こらない病気です。内膜が剥がれにくくなる頃、つまり閉経を迎える前後くらいから患者数が増えてきます。ごくまれですが、排卵障害があり2040代という若い年代の女性で子宮体がんになる方もいます。


症例-CASE-

女性、51歳、既往歴なし

199812月、子宮内膜がんのため手術を受けましたが、上腹部のリンパ節への転移があり、また、がんの一部は腸管表面に残りました。そのため、手術後は化学療法(シスプラチン、エピルビシン、シクロホスファミド)を5クールと、さらに別の化学療法(パクリタキセル、カルボプラチン)を3クール行いました。しかし、19998月、残ったがんが進行し、骨盤や腹部のリンパ節転移の再発や、左鎖骨上リンパ節転移の出現がみられました。11月末までリンパ節転移部分には放射線療法を行い、また免疫賦活剤(シゾフィラン)も併用し、腫瘍は縮小されました。その後引き続き化学療法(ドキシフルリジン)が開始されました。

2000124免疫細胞治療初診されました。全身状態は良好で、食欲も良好、触診では左鎖骨上リンパ節は放射線療法により50px程度に縮小していました。

29日よりアルファ・ベータT細胞療法を開始し、2週に1回、419日まで7回の治療終了後、検査をしたところ、左鎖骨上リンパ節は触って確認できないくらいに縮小しており、腹部と骨盤のリンパ節転移巣は縮小した状態を維持していました。また腫瘍マーカー(CA125CA199)の上昇もありませんでした。放射線療法による効果が維持されていると判断し、623日から治療を再開しました。2週に1回、91日まで更に6回行い、その後4週間間隔で20024月まで継続しました。その間、腹部と骨盤のリンパ節転移巣は安定しており、その後更に6週間間隔、12月から8週間間隔、20041からは2ヶ月間隔、200412からは3ヶ月間隔と治療間隔を空けながら治療を継続していましたが、200510月以降になりCA125が徐々に上昇してきたため、200512月からは再度、4週間間隔で治療を行うとCA125CA199の低下が見られ、20064月以降は再び3ヶ月間隔で治療を行いました。

7年間の経過中、6ヵ月毎に腹部CTで腹部と骨盤のリンパ節転移巣を観察していましたが、縮小がみられ(以下画像)、腫瘍マーカーの上昇も抑えられています。また患者さんの全身状態や生活の質も良好なまま維持されています。


検討-DISCUSSION-

化学療法が無効な患者さんでしたが、放射線療法でリンパ節転移巣は縮小させることができ、その後約7年間、アルファ・ベータT細胞療法で進行や再発がなく、生活の質が良好なまま経過していることは、特筆すべき症例と言えます。腫瘍マーカーなどの推移からは、まだがんが残っているものと考えられ、今後も慎重に経過を観察しながら免疫細胞治療の治療間隔を考慮し継続している方針です。



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